貴船神社は言わずと知れた縁結びのパワースポットです。恋愛成就や復縁に絶大な効果があることで知られていますが、一部では縁切りのご利益もあるとされています。
しかし、結論からお伝えしますと、貴船神社に縁切りのご利益はありません。それでは、一体なぜそのような誤解が生まれてしまったのでしょうか。
この記事では、貴船神社が縁切り神社と誤解される理由や、貴船神社の本来のご利益について解説します。また、縁切りのご利益がある神社もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
貴船神社が縁切り神社と誤解される3つの理由
一部では、貴船神社には縁切りのご利益があると言われています。しかし実際は、貴船神社は縁切り神社ではありません。その理由について、以下の3つが挙げられます。
①丑の刻参りと勘違いしているから
②縁結び=縁切りと考える人がいるから
③SNSで発信している人がいるから
詳しく解説します。
①丑の刻参りと勘違いしているから
その昔、貴船神社では「丑の刻参り」という儀式が行われていました。 丑の刻参りとは、わら人形を五寸釘で突き刺す呪術であり、実際に貴船神社でもそのようなことが行われていたという伝説が残っています。
しかし、本来の丑の刻参りは、祭神である貴船明神が丑年丑月丑日丑刻に降臨されたというものであり、「真剣に神様に願うことが叶う」という意味を表したものです。 このことは、「心願成就に霊験あらたか(非常に効果がある)」という言葉で、奥宮の立札にも書かれています。
つまり、丑の刻参りは呪いではありません。また、縁切りの話も一切出てきていないため、丑の刻参りの恐ろしいイメージから、縁切り神社だと勘違いされている可能性が高いといえるでしょう。
②縁結び=縁切りと考える人がいるから
貴船神社が縁切り神社だと言われる理由の2つ目は、「縁結び=縁切り」と考える人がいるからです。
貴船神社は、縁結びの神様である「磐長姫命(いわながひめのみこと)」が祀られており、縁結びや復縁のご利益がある由緒ある神社です。
しかし、縁結びや復縁をするということは、「他人から相手を奪い自分と結ばれること」だと考える人もいるため、いつの間にか貴船神社を縁切り神社だと勘違いする人が増えたようです。
③SNSで発信している人がいるから
貴船神社が縁切り神社だと言われる理由の3つ目は、実際にSNSで縁切り効果があったと発信している人がいるからです。
しかし、これは①で解説した「心願成就に霊験あらたか」という言葉のとおり、心願成就で縁切りの効果もあったと考えていいかもしれません。
貴船神社について
丑の刻参りの発祥地として有名な貴船神社ですが、どのような特徴のある神社なのでしょうか。ここでは、貴船神社の歴史やご利益について詳しく解説します。
貴船神社の歴史
貴船神社は京都を代表する神社ですが、実は創建に関する確かな記録は残されていません。ただし、1300年前に社殿を建て替えた記録があることから、創建はそれよりもはるかに古いと推測されています。貴船神社の公式サイトには、以下のような記載があります。
・貴船大神が太古の「丑の年、丑の月、丑の日」に天上から貴船山の中腹にある鏡岩に降り立った
・約1600年前、初代神武天皇の皇母である玉依姫が黄色い船に乗って淀川からこの地を訪れ、奥宮に清水の湧き出る霊境吹井(れいきょうふきい)を見つけて祠を建てた
また、水源の地である「水神の総本宮」として二千社もの神社が存在しますが、その中でも貴船神社は主要な神社のひとつです。
貴船神社の御祭神
貴船神社では、本宮、結社、奥宮それぞれに以下の神様を祀っています。
・本宮 高龗神(たかおかみのかみ):日本神話に登場する神様で、伊奘諾尊(いざなぎのみこと)の御子神(みこがみ)であり、水を司る神様
・結社 磐長姫命(いわながひめのみこと):日本神話に登場する、永遠と長寿を司る神様。木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)の姉で、絶世の美女と称される存在
・奥宮 高龗神(たかおかみのかみ):闇龗神(くらおかみのかみ)と玉依姫命(たまよりひめのみこと)も祭られているという説がある。 闇龗神は雪や雨を司るヘビの神様であり、玉依姫命は神武天皇(初代天皇)の母で、海や水に関するご利益がある神様
貴船神社のご利益
貴船神社では、主に「諸願成就」「縁結び」「運気隆昌」のご利益をいただけます。とくに恋愛成就や復縁に絶大な効果があると言われています。
また、昔から水の神様として雨乞いや雨止み、厄除けの御祈願を行ってきました。 このように、貴船神社には強い力を持つ神様がたくさん祀られていることから、怖いという噂があるのかもしれません。
丑の刻参りについて
貴船神社は丑の刻参りの発祥の地として有名です。丑の刻参りとは、午前1時から3時までの間に神社の御神木に7日連続でわら人形に五寸釘を突き刺す儀式といわれています。
貴船神社には本殿として「本宮(ほんぐう)」「結社(ゆいのやしろ)」「奥宮(おくのみや)」の三社がありますが、丑の刻参りが行われていたのは奥宮だそうです。
しかし、本来の丑の刻参りは、貴船明神が丑年丑月丑日丑刻に降臨されたことを祝うものであり、「真剣に神様に願うことが叶う」という意味を持っています。つまり、丑の刻参りは呪いの儀式ではないのです。
縁切り祈願をしたい場合は?
貴船神社は、縁切り神社ではないことが分かりました。そこで、縁切り祈願をしたい方は、京都にある「安井金比羅宮(やすいこんぴらぐう)」をおすすめします。
安井金比羅宮が縁切り神社となった理由は、主祭神である崇徳天皇が戦いによって奥様と別れざるを得なかったことに由来しています。「自分のように悲しい思いはさせたくない」という思いから、幸せな男女の縁を妨げる悪縁を断ち切ってくださるそうです。
崇徳天皇が四国の神社で一切の欲を断ち切って昼夜祈り続けたことから、元々「断ち物」の神社として有名でした。
縁切りする際のポイント
縁切り神社を訪れると、縁を切りたい相手の不幸を願う人がいます。
しかし、憎しみを込めて縁を切ることは、新たな悪縁を生む可能性もあり、自分にとってマイナスとなります。縁切り神社で祈願する際は、相手の不幸ではなく自分の幸福を願うことが大切です。
自分の幸福を願うことで、プラスのエネルギーが生まれ、未来に幸福が訪れやすくなります。
まとめ
今回は、貴船神社が縁切り神社と誤解される理由について解説しました。その理由については、以下の3つが挙げられます。
①丑の刻参りと勘違いしているから
②縁結び=縁切りと考えているから
③SNSで発信している人がいるから
貴船神社は縁切り神社ではなく、縁結びや復縁のご利益に強い神社です。素敵なご縁に恵まれたい方は、ぜひ貴船神社を訪れてみてください。
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