神奈川県の北鎌倉にある東慶寺は、古くから人気の縁切り寺です。その昔、女性から離縁が出来なかった封建時代に、東慶寺は駆け込み寺として多くの女性を救いました。
明治時代に入ると、縁切り寺法は廃止されてしまいましたが、現在もなお、離縁を求めてたくさんの女性が東慶寺を訪れます。しかしながら、縁切り祈願は非常に強力な力を持つとされ、誤った方法で行うと望ましくない結果につながるかもしれません。
そこで、この記事では東慶寺の正しい縁切りの方法について解説します。また、東慶寺の歴史や見どころについても併せて解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
東慶寺について
東慶寺は古くから人気の縁切り寺として知られていますが、その歴史にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、東慶寺の歴史やご利益について解説します。
東慶寺の歴史
東慶寺は鎌倉時代に創建された臨済宗円覚寺派の寺院です。東慶寺の歴史について詳しく解説します。
・東慶寺は、弘安8年(1285)に覚山志道尼(かくさんしどうに)が、夫である北条時宗を弔うために創建した。
・5代目である後醍醐天皇の皇女が住職となった際には、鎌倉御所や松ヶ岡御所と呼ばれ、格式の高い尼寺となった。
・江戸時代には豊臣秀頼の娘が入寺し、後に20代目住職として、創建以来の栄光を極めた。
・明治4年(1871)に、廃仏毀釈の影響で縁切りの寺法が廃止され、そして明治35年(1902)には尼寺の歴史も終わりを迎えた。
・明治38年(1905)、釈宗演禅師(しゃくそうえんぜんじ)の入寺により、荒廃したお寺が復興され、現在に至る。
かつては男子禁制の寺院でしたが、今では誰もが参拝できるようになりました。
東慶寺のご利益
東慶寺の本尊・仏様は、釈迦如来(しゃかにょらい)です。釈迦如来のご利益は、「悟りを開かせる」ことです。
禅宗における悟りとは、「生きるもの全てが本来持っている仏性に気づく」ことであり、仏性とは「言葉による理解を超えた範囲のことを認知する能力」のことを指します。
また、文化財にも指定されている水月観音様では、縁切りや良縁のご利益をいただけます。
東慶寺の縁切り寺としての歴史
東慶寺では600年にわたり、明治時代まで女性が夫と離縁できるという寺法が受け継がれていました。江戸時代には、徳川家康が縁切り寺法を制定し、公認の駆け込み寺として知られていました。
東慶寺では、かつては3年間の滞在で縁が切れるとされていたそうです。しかし、1871年に寺法が廃止され、縁切り寺としての役割は終了しました。
それでも、東慶寺は縁切り寺として有名であり、今でも多くの人々が縁切りの祈願に訪れています。
東慶寺の縁切りの方法
東慶寺では、正しい縁切りのお参り方法があります。東慶寺の縁切りの方法については下記の通りです。
1、水月観音様にお参りする
2、自分が幸せになることを想像しながら願う
3、今後の行動についてよく考える
4、水月観音様のお守りを受けると尚良い
縁切りのお参りをする際には、相手の不幸を願うのではなく、自分の幸せな未来を想像しながら願い事をしましょう。また、今後の自分の取るべき行動についてよく考えることも大切だと言われています。
東慶寺の見どころ7選
東慶寺を訪れた際には、必見のポイントがあります。東慶寺の見どころについては、以下の7つです。
①本殿
②水月観音様
③聖観音様
④鐘楼
⑤墓苑
⑥御朱印
⑦お守り
ひとつずつ解説します。
①本殿
東慶寺の本殿は、関東大震災で一度倒壊してしまいましたが、昭和10年(1935)に再建されました。
中央には釈迦如来坐像が安置されています。東慶寺のお参りの方法は、合掌一礼です。また、本堂に入り、仏様を間近で拝観しながら参拝することもできます。
なお、東慶寺は臨済宗円覚寺派で、護摩などの祈祷は行われていません。
②水月観音様
東慶寺の水月堂には、神奈川県指定文化財である水月観音坐像が安置されています。
この水月観音坐像は、毎月18日にのみ拝観が可能です。また、水月観音様にお参りすることで縁切りの祈願ができます。
鎌倉時代から現代に至るまで、多くの女性が離縁を求めて水月観音様を訪れています。
③聖観音様
東慶寺の境内奥にある松岡宝蔵に聖観音立像が安置されています。
聖観音立像は鎌倉時代に造られた仏像で、もともとは鎌倉にあった太平寺(現在は廃寺)の本尊として祀られていたそうです。
聖観音様は、「苦難除去」「病気平癒」「開運」など、さまざまなご利益があると言われています。
④鐘楼
参道の左手には、大きな鐘楼があります。こちらは、大正5年(1916)に釈宗演老師(しゃくそうえんろうし)の居士である神津猛氏(こうずたけし氏)が、持ち山の材木を寄進して建立したものです。
梵鐘は材木座の補陀洛寺(ふだらくじ)から移されたものだと言われています。また、元弘2年(1332)に作られた元の梵鐘は、現在は韮山の本立寺にあるといいます。
天井に描かれている龍の原画は、松岡宝蔵に展示されているので、ご興味のある方はぜひ確認してみてください。
⑤墓苑
境内の森の奥には墓苑があり、たくさんの緑に囲まれた自然を感じられる場所です。
この墓苑には、覚山志道尼(かくさんしどうに)や用堂(ようどうに)などの歴代住職のお墓だけでなく、禅を広めた鈴木大拙や岩波書店の創業者、そして小説家や哲学者など、多くの著名人のお墓があります。
また、墓苑には一般の方々のお墓もあるそうです。墓苑に訪れる際には、静かにお参りしましょう。
⑥御朱印
東慶寺では、お参りの証として御朱印をいただくことができます。
御朱印は、松岡宝蔵の入り口で配布しています。東慶寺の御朱印はセルフサービス形式となっており、入口付近に御朱印代を入れるための箱があるので、そちらにお金を入れて、御朱印を受け取りましょう。
ちなみに、東慶寺では御朱印帳の販売はしておりませんので、忘れずに持参するようにしてくださいね。
⑦お守り
東慶寺には、松岡宝蔵内に売店があり、ここでは水月観音様のお守りが販売されています。
このお守りは、水月観音様の姿を描いた絵が和紙で包まれている素敵なデザインです。
なお、こちらのお守りは全て住職による祈祷が捧げられたものとなっており、縁切りのご利益をいただきたい方は必見です。
まとめ
今回は、東慶寺の縁切りの方法や歴史について解説しました。東慶寺の正しい縁切りの方法については、以下の4つが挙げられます。
1、水月観音様にお参りする
2、自分が幸せになることを想像しながら願う
3、今後の行動についてよく考える
4、水月観音様のお守りを受けると尚良い
縁切りのお参りをする際には、相手の不幸を願わないようにしましょう。
なぜなら、「不幸返し」といって、願ったことがそのまま自分に返ってくる可能性があるからです。縁が切れることで自分が幸せになる姿を想像しながら、お願いするようにしてみてくださいね。
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